生活定点 夫婦における役割分担の現実と理想
「生活定点」のデータを使ってみよう!第4弾です。ここでは、夫婦の役割分担について現実と理想で男女に違いがあるか調べます。
「生活定点」とは、博報堂生活総合研究所が1992年から隔年で実施する時系列観測調査のことです。この調査の目的は、日頃の感情、生活行動や消費態度、社会観など、多角的な質問項目から生活者の意識と欲求の推移に関する分析です。
「生活定点」をご覧になるとわかるように、1992年から2018年までの隔年の調査結果が回答率(%)という形で表示されています。オリジナルのデータが提供されているわけではありませんので詳細な分析はできませんが、それでも様々な質問項目の傾向を回答率から読み取ることができます。
「生活定点」の質問項目はとても多角的です。
例えば、「家族」のテーマだけでも
・家族全般の意識・行動
・父親尊敬派 vs 母親尊敬派
・夫婦の役割分担[既婚者]
などの質問項目が設定されています。
ここでは、夫婦の役割分担について
・理想の役割分担
で男女に違いがあるか調べていきます。
生活定点 夫婦における役割分担のデータをダウンロード
博報堂生活総合研究所「生活定点」の調査票22ページにある、以下の質問40と質問41を対象にして調査結果を調べていきましょう。
「生活定点」の調査結果は、Excelファイルで提供されています。
Excelファイルをダウンロード して使うことができますので、データをダウンロードしてみます。
「生活定点」のExcelファイルは、シートごとに性別、年齢別、地域別データで整理されています。
ここでは、性別(MaleとFemaleのシート)データを使って、 2018年の男性(1550人)、女性(1530人)の回答を比較していきます。
比較する対象は以下の三つです。
1 夫婦で平等に分担 2 妻は家庭内の役割、夫は家庭外での役割を担う 3 夫婦のうちその時にできる方がやる
生活定点 夫婦における役割分担の現実と理想
1. 現実の夫婦の役割分担(男女別)
まずは、現実の夫婦の役割分担について男女別に描いてみました。
上のグラフをみると、現実の夫婦の役割分担の認識に男性と女性で大きな違いはなさそうです。男女ともに「妻は家庭内の役割、夫は家庭外での役割を担う」とする回答が多いですね!
2. 理想の夫婦の役割分担(男女別)
次に、理想の夫婦の役割分担について男女別に描いてみました。
理想とする夫婦の役割分担は、男性と女性でグラフの形が逆転しました。
どうやら、理想の夫婦の役割分担は、男性と女性で異なるようです。
円グラフを描いて、理想とする夫婦の役割分担について男女で比較してみましょう。
左の円グラフが男性の理想とする夫婦の役割分担で、右の円グラフが女性の理想とする夫婦の役割分担です。
グラフをみると、男性は「妻は家庭内の役割、夫は家庭外での役割を担う」が39.1%で最も多く、次が「夫婦のうちその時にできる方がやる」の33.6%です。
でも、女性は「夫婦のうちその時にできる方がやる」が43.3%で最も多く、次が「夫婦で平等に分担」の31.1%となっています。
男性と女性で、理想とする夫婦の役割分担が異なることがわかりますね!
まとめ
「生活定点」のデータから、現実の夫婦の役割分担に対して男性と女性で認識に大きな違いはありませんでした。男性も女性も、多くが「妻は家庭内の役割を夫は家庭外での役割を担っている」と認識しているようです。
でも、夫婦の役割分担の理想像は男性と女性で異なりました。男性は、現実と同じく、妻は家庭内の役割を夫は家庭外での役割を担う状況を理想にあげています。でも、女性は、妻は家庭内の役割を夫は家庭外での役割を担う状況よりも、夫婦のうちその時にできる方がやる状況を理想にあげています。
夫婦の役割分担の理想は、男性と女性では異なるようです!
「生活定点」は、オリジナルデータが提供されているわけではないので残念ながらこれ以上詳細な分析を行うことはできません。でも、「生活定点」で調査している、日頃の感情、生活行動や消費態度、社会観など、多角的な質問項目との関連をみていくと、もしかしたら上記のような現象に影響を与えている要因、みえてくるかもしれません。