研究発表で使いたい、発表意図が伝わる円グラフ
大学院で自分の研究内容を発表するときは、発表意図が伝わるスライド作りに心掛けましょう。限られた時間内で的確に自分の研究内容を聞き手に伝えるためには、文字ばかりのスライドは避け、グラフなどを有効に使う工夫をしましょう。
ただ、スライド作りに慣れていると、つい、華やかなスライドを作りたくなります。華やかなスライドは人目を引くことができます。でも、華やかさに気を取られていると、本当に伝えたい発表意図が伝わりにくくなってしまうことがあります。社会人大学院生はスライド作りのテクニックを持っている場合も多いので、作図作業それ自体にエネルギーを取られがちです。でも、伝えたい内容が直感的に伝わるよう、元のデータを編集することも大切です。
今回は、伝わりやすい円グラフを描く方法について説明したいと思います。
棒グラフや折れ線グラフ、散布図の描き方については
・棒グラフ: 研究発表で使いたいシンプルな棒グラフ ・折れ線グラフ:シンプルで見やすい折れ線グラフ ・散布図: 研究の場で描く機会が多い散布図
で説明しています。ご興味のある方はそちらもご覧ください。
以下、Excel(Microsoft Office for Mac 2011)を使って描画しています。
円グラフで伝えたいことは何か!
グラフの元データは以下とします。車種別の販売台数ですね。
このデータを使って
と主張したいと仮定します。
グラフを描く上で最も大事なことは、上記の目的 販売台数の半分近くを軽乗用車とハイブリッド車が占める! をわかりやすく伝えることです。グラフを描き始めると、つい、何のためにグラフを描いているのか忘れてしまいます。グラフを描いている目的を忘れないようにしましょう。
さて、円グラフは 販売台数の半分近くを軽乗用車とハイブリッド車が占める! を伝えるにふさわしいグラフの形です。なぜなら、円グラフで描くと直感的に全体に対する割合を知ることができるからです。
では、実際に 販売台数の半分近くを軽乗用車とハイブリッド車が占める! が直感的に伝わる円グラフを描いてみましょう。
まず、上記の表のデータを使ってExcelで円グラフを描くと、Excel表のデータの順番通りに項目が表示されます。そのため、ハイブリッドと軽乗用車が離れて表示されてしまいます。
これでは、円グラフを見ても 販売台数の半分近くを軽乗用車とハイブリッド車が占める! という主張が伝わりません。
では、どうすればいいでしょうか?
まずは、Excelの表のデータを並べ替えましょう!
① 販売台数が多い順にExcel表のデータを並べ替える
販売台数が多い順にExcel表のデータを並べ替えると、以下のようになります。
このデータをもとに円グラフを描くと、次のようになりますね!
円グラフが販売台数の多い順に並び変わりました。軽乗用車とハイブリッドが並んで描かれているので 販売台数の半分近くを軽乗用車とハイブリッド車が占める! という主張がグラフから読み取れます!
ただし、半分近くといっても、具体的な数字が描かれていないとやや説得力に欠けます。また、凡例が円グラフの外に描かれているためわかりにくいです。
そこで、Excelの円グラフ描画で 【グラフレイアウト】を変更してみましょう。凡例や割合(%)を円グラフの中に表示するグラフレイアウトに変更すると、次に示すような図に変更されます。凡例と割合(%)が円グラフの中に表示されているので見やすいですね。
さらに、タイトルや円グラフ周辺の四角い枠は不要ですから、これらは削除してしまいましょう。
また、円グラフを描く目的は 販売台数の半分近くを軽乗用車とハイブリッド車が占める! です。そのため、スポーツ車や福祉車両、商用車、燃料電池自動車など販売台数が少ない車両を無理に表示する必要はありません。これらを[その他]としてまとめてみましょう。より伝わりやすい円グラフになるはずです。
② Excel表のデータを編集して[その他]の項目を作成する
①と同様、Excel表のデータを編集しましょう。販売台数の少ないスポーツ車や福祉車両、商用車、燃料電池自動車を[その他]としてデータをまとめてしまいます。以下のようになりますね。
このExcel表のデータをもとに円グラフを描くと、、、いい感じです!
ただ、各項目で塗られている色が少々派手すぎます。また、グラデーションや影も不要です。
そこで、色はシンプルなものに変更し、さらに、グラデーションや影は削除してしまいましょう。そうすれば、 販売台数の半分近くを軽乗用車とハイブリッド車が占める! が直感的に伝わる円グラフになります。
③ 主張したい内容が目立つよう、各項目の色を変更する
円グラフを使って主張したいことは
です。
上の主張が目立つよう円グラフの各項目の色を変更します。
これで、販売台数の半分近くを軽乗用車とハイブリッド車が占める! ことが一目瞭然の円グラフになりました。
主張が伝わりやすい円グラフを描くことができましたね!
自分の研究内容を人前で発表するときには、限られた時間で的確に発表内容を伝える必要があります。そのために、直感的で伝わりやすいグラフを積極的に活用したいですね。
ただし、Excelなどを使って円グラフを描くとなかなか自分が意図しているイメージの図を描いてくれません。そのようなときは、Excel上にある元のデータを工夫してみましょう。少々、面倒ですが、自分が意図したイメージの円グラフを描いてくれますよ!