そもそも、査読を通すってどういうこと?
一般の人が「査読」ということばを目にすることは、ほとんどないと思います。でも、大学院に進学して博士号取得をめざすと「査読」は重要なことばになります。特に、自然科学分野では「査読」を通して学術雑誌に論文が掲載されると、研究業績として認めてもらえます。
博士号を取得するためには、当然、博士論文を執筆して博士論文審査会に合格する必要があります。でも、博士論文審査会を開いてもらうためには、「査読」を通した論文、つまり、公表学術論文をもっていることが必要なのです。

私の場合、公表学術論文をもっていないと、たとえ博士論文を書いたとしても、博士論文審査会を開いてもらえませんでした。
公表学術論文の前に立ちはだかる「査読の壁」
研究業績を手に入れるため、論文を学術雑誌に投稿します。投稿すれば掲載可能な雑誌もあります。でも、自然科学分野では、一般的に、掲載可能かどうかを他の研究者に査読される、つまり、審査を受けることになります。

Review(レビュー)の方がわかりやすいでしょうか。投稿した論文が自分以外の他の研究者によって「入念に見直される」とか「詳細に吟味される」ことになります。
このような「査読の壁」を突破したら、公表学術論文として認めてもらえます。

「査読の壁」の向こうに、公表学術論文があるんだね!
人間科学研究科 研究科要項 2015年度版より

つまり「公表学術論文は、日本または海外のそれなりの学会誌に掲載された論文のことで、掲載されるためにはかなり厳しい審査を受けて合格する必要があるよ」って感じかな?

まぁ、そんな感じですね!
学会誌側で選出した、同じ分野の自分以外の研究者が「学会誌に掲載できるレベルかどうか詳細に吟味する」わけですから、「査読の壁」を突破するのは大変です。

大学によって事情は異なるかもしれませんが、私の場合は、公表学術論文が2編以上あることが、博士論文審査会を開いてもらう最低条件でした。
以下、「査読」について、もう少し具体的に説明します。
査読結果のパターン
査読とは、投稿論文をその分野の専門家が読んで中身を審査することです。あっさり査読を通ってしまうケース(accept)もありますが、大学院生の場合、そういうケースは少ないでしょう。
査読の結果には何パターンかあります。私の場合は、以下のようなパターンでした。この中で 査読の壁を突破する頑張りどころは、査読結果がmajor revisionになったとき です。

つまり「論文をこのままの状態で受け付けます」だね!

これは「ちょっと修正してほしい箇所があるから指摘しますね。適切に対応してくれれば論文を受け付けます」ってことだ!

これは「いっぱい修正箇所指摘したから頑張って修正してね。うまくいけば受理の可能性あるけど下手したらダメかも…」かな?

「ご縁がなかったということで!ご検討をお祈り致します」っていうやつだ…
言い換えると、こんな感じです。
・rejectならば、仕切り直し!
・minor revisionならば、指摘箇所を修正!
・major revisionのときは、とにかく頑張れ!
査読結果が major revision のとき
頑張りどころの major revision では、多くの指摘がなされています。
major revisionの場合、「ここがよくわからないから、わかるように直してください」とか「これに関して、より丁寧な説明を求めます」など、自分の書いた論文の問題箇所がたくさん指摘されます。もしかしたら、論文の根幹をなす部分への指摘があるかもしれません。そのため、修正には手間がかかります。でも、論文を適切に修正すれば査読の壁を突破できる可能性があります。このチャンスを逃さないようにしましょう!

査読の壁を突破する鍵は、major revisionにあるんだね
査読の流れについては、ここでも説明しています。興味のある方は、参考にしてみてください。

査読結果がmajor revisionのときは、自分の投稿論文をより良い形に修正できるチャンスです。指摘された内容を精査して「査読の壁」を突破していきましょう!
まとめ
大学院生にとって「査読を通す」という言葉には、重い意味があります。特に、博士号取得をめざす自然科学分野の大学院生にとっては、とても重い言葉です。
査読の壁を突破する頑張りどころは、査読結果がmajor revisionとなったときです。査読結果がmajor revisionとなった論文を修正する作業は大変ですが、自分の論文をより良い形に修正できるチャンスでもあります。
指摘された内容を精査して、査読の壁を突破していきましょう。

大学院に入るまで「査読」なんて言葉、ホント知りませんでした。はじめて論文を投稿して、返ってきた査読結果を見たとき、ただただ茫然自失でした!