論理的な文章には、パラグラフ・ライティングがおススメ!
修士論文や博士論文などの論文形式の文章は、パラグラフ・ライティングで書くことをお勧めします。
パラグラフ・ライティングは論理的な文章の執筆に適したライティング方法です。パラグラフ・ライティングで書くと、書き手にとっても読み手にとっても論理の流れが把握しやすいです。
パラグラフ・ライティングって、聞いたことないなぁ…
簡潔にいうと、「1つのパラグラフに1つのトピック(話題)についてのみ記述する」かな?
パラグラフ・ライティングでは、パラグラフ内のトピックの扱いが厳密です。いわゆる段落とは異なります。また、パラグラフの先頭にトピック・センテンス(パラグラフの要約文)を書くこともポイントです。
パラグラフ・ライティングは、英語圏に由来する、文章を論理的に書くライティング方法です。
パラグラフ・ライティングの特徴
パラグラフ・ライティングの特徴は
・1つのパラグラフに、1つのトピック(話題)についてのみ書く
・パラグラフの先頭にトピック・センテンスを置き、パラグラフ内で記述する内容を要約する
ことです。
「そんな簡単なこと?」と思われるかもしれません。でも、実際にやろうとすると、これが、なかなか難しいです!
下図は、パラグラフ・ライティングのイメージです。
たとえば、3つのトピックについて述べたいときは、以下のように3つのパラグラフを用意します。そして、パラグラフの先頭にトピック・センテンスを置きます。
形は、段落と似てるね?
段落よりも、パラグラフ・ライティングは、パラグラフ内で記述する内容の扱いが厳密です。
なぜなら、パラグラフ内で記述している内容を簡潔に要約した文(トピック・センテンス)を先頭に置くからです。
トピック・センテンスで、パラグラフに書く内容を「限定する」イメージでしょうか?
パラグラフ・ライティングは英語圏に由来したライティング方法ですから、英語の論文を読んでいるとパラグラフの先頭にトピック・センテンスが置かれていることに気づくはずです。
英語の論文が「日本語の論文よりも読みやすいな…」と感じることがありますが、それは、英語の論文がパラグラフ・ライティングで書かれているからです。
各パラグラフの先頭にトピック・センテンスを置くことによって、それに続くパラグラフの記述内容が限定されます。その結果、読み手は、そのパラグラフで記述される内容を予測しながら読むことができます。
たしかに、予測できるとラクだね!
以下、パラグラフ・ライティングについて、もう少し詳しく説明していきます。
1. 1つのパラグラフに、1つのトピック(話題)についてのみ書く
パラグラフ・ライティングでは、1つのパラグラフに1つのトピック(話題)についてのみ書きます。
メリット
・1つのパラグラフに1つのトピック(話題)についてのみ書かれている文章は、思考の固まりが明確になる
たとえば、3つのトピックについて記述するのであれば、下図のように3つのパラグラフを用意します。
パラグラフ・ライティングでは各パラグラフに記述するトピックは重複することなく独立した状態になります。思考の固まりが明確です。
2. トピック・センテンスをパラグラフの先頭に置く
トピック・センテンスとは、パラグラフ内で記述する内容を簡潔に要約した一文のことです。このトピック・センテンスを、パラグラフの先頭に置きます。
メリット
① 書き手は、パラグラフの先頭にトピック・センテンスを置くことによって、余計なことを書かなくなる
② 読み手は、パラグラフの先頭にトピック・センテンスが書かれていると、それ以降の内容を予測しながら読むことができる
③ 書き手も読み手も、各パラグラフの先頭に書かれているトピック・センテンスを拾うだけで、論文全体の内容を確認できる
なるほどねぇ。でも、まとめ的な要約文って末尾に書きたくなるよね…
では、もう少し詳しく説明しますね!
① 書き手は、パラグラフの先頭にトピック・センテンスを置くことによって余計なことを書かなくなる
書き手にとっては、文章を書き終えてから、まとめの文を記述する方が簡単です。でも、末尾にまとめの文をもってくると、文章を書きながら思いついたことを思いついたままに書いてしまうリスクが発生します。そのようなリスクを発生させないために、パラグラフの先頭にトピック・センテンスを置きます。トピック・センテンスの存在が、パラグラフ内で記述する内容を限定し、思いついたことを思いついたままに書くというリスクを減らしてくれます。
論文は随筆ではありません。思いついたことを思いついたままに記述しないように注意しましょう!
② 読み手は、パラグラフの先頭にトピック・センテンスが書かれていると、それ以降の内容を予測しながら読むことができる
読み手は、パラグラフの先頭に置かれている「このパラグラフにはこんなことが書いてある」という情報を得てから、文章を読むことができます。これから読む内容を、ある程度、予測しながら読むことができますので、読み手は文章を読解する負担が減ります。
論文は推理小説ではありません。謎解きに必要な情報を最初に明かしてしまっても大丈夫です!
③ 書き手も読み手も、各パラグラフの先頭に書かれているトピック・センテンスを拾うだけで、論文全体の内容を確認できる
トピック・センテンスは、パラグラフ内で記述されている内容を簡潔に要約した一文です。そのため、各パラグラフの先頭にあるトピック・センテンスを拾い読みするだけで、論文全体に書かれている内容を把握することができます。書き手にとっては、これまでに書いた文章の内容を確認しやすいです。また、読み手にとっては、これから読む文章の内容を把握しやすいです。
ということで、トピック・センテンスはパラグラフの先頭に置きましょう。
以下では、トピックをサポートするセンテンスやコンクルーディング・センテンスについて簡単に説明します。
3. トピック・センテンスを意識して、トピックに関する詳細文を記述する
各パラグラフ内に記述する文章は、トピック・センテンスをサポートする文です。
トピック・センテンスをサポートするために、トピックの詳細な説明や根拠、具体的な事例などを記述していきます。文章だけではなく、図や表、グラフなども使うことができます。
トピック・センテンスをサポートする文については、こちらでも説明しています。
パラグラフの先頭に記述したトピック・センテンスから逸脱しないよう注意しましょう。
4. 最後にコンクルーディング・センテンスを記述する
パラグラフの最後に、そのパラグラフで記述した内容をまとめます。
まとめもいるの?
パラグラフ内の文章量が少ないときにはコンクルーディング・センテンスは必要ないかもしれません。でも、パラグラフ内の文章量が多いときは記述することをお勧めします。
まとめ
修士論文や博士論文などの論文形式の文章は、パラグラフ・ライティングで書くことをお勧めします。パラグラフ・ライティングを意識して書いた文章は、思考の固まりが明確になり、論理の流れがわかりやすくなるからです。
パラグラフ・ライティングの特徴は
・1つのパラグラフに、1つのトピック(話題)についてのみ書く
・パラグラフの先頭にトピック・センテンスを置き、パラグラフ内で記述する内容を要約する
ことです。パラグラフ・ライティングは、一見、簡単そうにみえますが、実際にやってみるとなかなか手強いです。
日本では、論理的な文章の書き方を学ぶ機会があまりありません。そのため、パラグラフ・ライティングを身につけておくと、ビジネス場面でも役立ちますよ!
書籍の紹介
加藤恭子、ヴァネッサ・ハーディ(1998)『英語小論文の書き方 英語のロジック・日本語のロジック』講談社
少々古い本ですが、英語と日本語の言語感覚の違いに着目して書かれていて、パラグラフ・ライティングのイメージをつかみやすいです。
パラグラフ・ライティングって、実際やろうとすると難しいですよ。お試しあれ!