修士論文の執筆 序論(イントロダクション)
修士論文は、 卒業論文や投稿論文と同様、基本的に序論・本論・結論の構成で書きます。
量的に多く記述する部分は本論だと思いますが、質的に充実させる必要があるのは序論(イントロダクション)です。
以下は、私が書いた修士論文の構成(実験系の研究分野)です。ご覧のように、序論・本論・結論で文章全体を構成しています。
・表紙
・目次
・図 目次
・表 目次
序論部分
・研究の背景
・研究の目的
・論文全体の構成
本論部分
・研究1の目的
・実施した実験の説明・分析・考察・結果など
・研究2の目的
・実施した実験の説明・分析・考察・結果など
…
…
…
・各研究内容の総括
結論部分
・研究全体の総括
・今後の展望
・参考文献リスト
・付録
研究分野によって、序論・本論・結論に記述する具体的項目は異なってくると思いますが、論文全体の構成は、序論・本論・結論となるはずです。
どの部分を書くときが一番大変だった?
量的負担が大きかったのは本論です。実際に行った実験の詳細を記述する必要がありました。でも、何度も書き直したのは序論かな?
本論部分には、実験に関する多くの図や表も載せました。とはいえ、実際にやったことを整理していくだけですから、時間がかかるとはいえ、ゴールに向かって進んでいく感がありました。
でも、序論部分は何度も書き直す必要が生じ、なかなかゴールへと進めませんでした。
なぜ?
序論(イントロダクション)
序論に記述すべきものは
・論じるテーマ(どんなテーマの論文か!)
・論じるテーマの重要性(選んだテーマの価値をアピール!)
・論じる目的(選んだテーマで言いたいこと!)
です。
1. どんなテーマの論文であるか!という論文のテーマを明確にする
まず、序論部分では、どんなテーマについて論じていくのか、つまり、論じるテーマを明確にする必要があります。
論じるテーマなんて、すでに研究が終わっているのだから、わかりきったことではないの?
実は、研究計画書で設定した研究のテーマが、少しづつズレていったような気がするのです。
実験をしたり先行研究を調べたりしているうちに、自分の知識量が増えたからでしょうか?
研究計画書を書いたころは、まだ自分の研究テーマに関する知識量が少なく、テーマを適切に絞りこめていなかったようです。
でも、研究を進めていくうちに見えてくるものがあり、論じるテーマを、再度、明確化する必要がありました。
それで、時間がかかったんだ!
2. なぜそのテーマを選んだのか!を説明するために、テーマの重要性を訴える
序論部分で論じるテーマを明確化できたら、次は、そのテーマの重要性を訴えます。
「この研究には価値がある」とアピールするんだね!
ここで活躍するのが先行研究です。しっかりアピールするために多くの先行研究を調べる必要があります。
でも、先行研究を探したり読み込んだりする作業には時間を取られます。
論じるテーマが少しズレたことにより、先行研究も調べ直す必要がありました!
自分の研究テーマに合った先行研究を新たに探しだし、その先行研究を使って
・このテーマについて、過去にこんなに多くの研究がなされてるよ!
・でも過去の研究では、〇〇について解明されてないよ!
・過去の研究に対して別の視点から論じるよ!
と主張しなければなりません。
序論部分では、多くの先行研究と自分の研究を比較して、自分の研究の独自性や新規性を主張しなければなりませんから、論じるテーマが少しズレたことの影響は大きかったです。
3. 論じる目的、このテーマで何を言いたいか!を簡潔に記述する
論文のテーマに対し「自分が言いたいことはこれだ!」という論じる目的を記述します。
目的?目的は修士論文を書くことでは?
そういう目的ではなくて、、、執筆している修士論文それ自体が目指す目的、ゴールみたいなものでしょうか?
1. と 2. が適切に書かれていれば、論じる目的の記述は簡単です。
たとえば、以下のように、論じる目的を書くことができます。
〇〇について明らかにする
〇〇問題を解決する
〇〇方法を提案する
論じる目的はなるべく簡潔に書きましょう。そうすると、論じる目的に呼応する形で、結論も簡潔に書くことができます。
〇〇について明らかにする ⇔ 〇〇について明らかになった
〇〇問題を解決する ⇔ 〇〇問題を解決した
〇〇方法を提案する ⇔ 〇〇方法を提案した
論じる目的は論文の行き着く先です。行き着く先を曖昧にしたまま本論部分を書いても、曖昧な修士論文になってしまいます。
逆に、論じる目的がうまく書けないとしたら、論じるテーマや重要性の記述が曖昧ってことかもしれません…
曖昧ってことは、また、書き直しが必要ってこと? それは、辛い…
まとめ
修士論文や博士論文などの論文を書くときは、 卒業論文と同様、序論・本論・結論で文章全体を構成します。
序論では
・論じるテーマ(どんなテーマの論文か!)
・論じるテーマの重要性(選んだテーマの価値をアピール!)
・論じる目的(選んだテーマで言いたいこと!)
を明確にしましょう。
序論(イントロダクション)は、しっかり記述する必要があります。
序論をしっかり記述できれば、本論と結論は、序論に呼応する形で書き進めることができるはずです。
うまく序論が書けないときは本論から執筆する手もありますが、論じるテーマが曖昧なまま本論を書いてしまうと、結局、あとで苦労するかも…