散布図を描くときのコツ!
散布図は、2つのデータに関係がありそうかどうか検討したいときに利用します。2つのデータの関係を分析したいときにとても役立つグラフですから、卒業論文や修士論文などの研究の場で使う機会は多いです。
棒グラフや円グラフなどは、日常、よく見かけます。また、学校の授業で描いた経験がある人も多いのではないでしょうか。それらと比べて、散布図は親しみにくいグラフかもしれません。でも、研究の場では、ぜひ、身に付けておきたいスキルです。

2つのデータの関係とか難しそう。やっぱり、散布図は苦手!
たしかに、散布図は、円グラフや棒グラフ、折れ線グラフよりも難しいです。たとえば、総務省統計局の「なるほど統計学園」でも散布図は上級編で紹介されています。
上のリンク先、児童・生徒向け学習サイトですが、散布図以外にも、統計を様々な角度から学ぶことができるようになっています。
ここでは、上のウェブサイトより、もう少し研究っぽい雰囲気の散布図を描画していきましょう。
以下、Excel(Microsoft Office for Mac 2011)を使って描画しています。
新しい学習方法を検討するための散布図
散布図は、2つのデータの関係を検討したいときに役立つグラフです。

最高気温が上がるとエアコンの販売台数が増えるみたいな感じだね!
たしかに、最高気温が上がるとエアコンの販売台数が増えそうです。でも、研究の場では、もう少し工夫してから、2つのデータの関係を検討する散布図を描くことをお勧めします。

複雑な計算をしなくても、散布図を描くだけでデータの関係が見えてくることがありますよ!
ここでは
と
の散布図を、以下のデータ(仮データです)を使って描いていきましょう。
散布図を描く目的は
です。
使用したデータ
40人の学生に新しい学習法を試みました。下記の表は、新しい学習法を試みる前と試みた後のテストの点数の一覧です。
事前と事後のテストの点を使った散布図
まず
の関係をみてみましょう。
散布図は、Excelのグラフ描画機能を使えば、簡単に描けます。
(横軸が事前テストの得点、縦軸が事後テストの得点)

なんか、いい感じの散布図が描けてる!

確かに、正の相関関係!っぽい、いい感じのグラフが描けています
でも、この散布図で表していることは
・事前テストで点の高い学生は、事後テストでも点が高い
という関係です。
こでれは「新しい学習方法とテストの得点に関係があるかどうか」に関して、よくわかりません。
得点差を使った散布図
次に
の関係をみてみます。
まず、事前テストと事後テストの得点差を求めます。それから、事前テストの得点と新しい学習方法を試みた後の事後テストとの得点差の関係を散布図にしました。
散布図が見やすくなるよう、得点がマイナスの場合と得点がプラスの場合に分けて描画しています。
・得点がマイナスとは、事後テストで得点が下がったケース
・得点がプラスとは、事後テストで得点が上がったケース

赤のマイナスと黒のプラスがすごく偏ってプロットされてる!
上のグラフから
・もともと低得点しか取れない学生に新しい学習方法を試みると、得点が下がる傾向
があるといえそうです。
散布図を描く目的は「新しい学習方法とテストの得点に関係があるかどうか」でした。

この散布図を使って、何かしらの関係があるといえそうですね!
このように、少し工夫して散布図を描くと、2つのデータの関係が見えてくる場合があります。研究の場では、積極的に散布図を活用しましょう。散布図は、研究の場にふさわしいグラフといえるかもしれません。
まとめ
散布図は、2つのデータに関係がありそうかどうか検討したいときに利用します。2つのデータの関係を分析したいときにとても役立つグラフですから、卒業論文や修士論文などの研究の場で積極的に活用しましょう。
散布図は、棒グラフや円グラフ、折れ線グラフよりも難しく感じるかもしれません。でも、少し工夫して散布図を描画すると、隠れていた関係が見えてくることがあります。
散布図の描画は、研究の場で身に付けておきたいスキルの1つです。描画スキルを身につけて、積極的に活用していきましょう。

今は、Excelで、平均値の差の検定や相関係数の算出などの統計処理が簡単にできてしまいます。でも「何と何の関係を検討しようとしているのか」などを明確にしてから使うようにしましょう。
それにしても、Excelって、ほんと、なんでもできてしまう優秀なやつだなぁ…