研究の場で描く機会が多い散布図
大学院という研究の場では、散布図を描く機会は多いです。なぜなら、研究の場では
というケースが多いからです。
散布図は、棒グラフや円グラフと比べて親しみにくいグラフかもしれません。でも、大学院の研究生活の中で散布図の描き方を身につけておくと社会人生活で応用できる機会もあると思います。
ここでは、大学院という研究の場で描く機会が多い散布図の描き方について説明していきます。棒グラフと円グラフ、折れ線グラフについては、下記の記事
・棒グラフ: 研究発表で使いたいシンプルな棒グラフ ・円グラフ: 研究発表で使いたい、発表意図が伝わる円グラフ ・折れ線グラフ:シンプルで見やすい折れ線グラフ
で説明しました。ご興味のある方はそちらもご覧ください。
以下、Excel(Microsoft Office for Mac 2011)を使って描画しています。
散布図で伝えたいことは何か!
散布図は、ある要素とある要素の関係を調べたいときに使うと便利な図です。研究の場では、使用頻度の高い図となります。
ここでは、以下のデータを使って散布図を描いていきます。
つまり、上のデータを使って
を調べるわけです。
ここで、散布図を描くときに気をつけなければならないことがあります。それは、横軸の要素に依存して縦軸の要素が変化するという関係を描くことが一般的なことです。横軸と縦軸が逆になると、わかりにくい散布図となりますので気をつけましょう。
ここでは、貼られているポスターの前を通過する人とその人たちの中でポスターの存在に気付く人はどのような関係にあるかを図式化したいわけですから
横軸:ポスターの前を通過する人 縦軸:ポスターの存在に気付く人
となります。
では、 ポスターの前を通過する人数とポスターの存在に気付く人数の関係 が直感的にわかる散布図とはどのようなものになるでしょうか。実際に描いてみましょう。
上記の表のデータを使ってExcelで散布図を描くと、以下のようになります。
タイトルの語句が不適切ですし、凡例も見にくいです。また、補助線が目立ち過ぎています。まずは、これらを削除してしまいましょう!
① 不適切なタイトルや目立ちすぎる補助線などを削除する
まず、タイトルや凡例、補助線を削除します。さらに、散布図周りの四角い枠も削除してしまいましょう。以下のような散布図になり、かなりスッキリします!
不要な情報を削除することによってプロット部分が鮮明になりましたね。
次に、プロットするデータに合わせて横軸と縦軸の目盛も変更してしまいましょう。目盛の数字のフォントも拡大するとさらに見やすくなるはずです。
② 横軸と縦軸の目盛を目立たせて、各軸のタイトルを表示する
プロットするデータに合わせて横軸と縦軸の目盛を変更し、目盛に表示してある数字のフォントも拡大しました。プロット部分がより鮮明になりましたね。
また、ここでは、 ポスターの前を通過する人数とポスターの存在に気付く人数の関係 を見ています。そのため、横軸と縦軸が何であるかがわかるよう、軸のタイトルを描き足しましょう。
上の散布図で完成でもいいでしょう。でも、プロットの余計な装飾は削除した方がより鮮明になります。ついでに、プロット自体の色や形もシンプルなものに変えましょう。以下のような散布図になりますね。
プロットの余計な装飾が削除されたので、よりプロット自体が鮮明になりました。 ポスターの前を通過する人数とポスターの存在に気付く人数の関係 が直感的にわかる散布図です!
③ 散布図を描いてみてはじめて見えてくるものがある!
散布図を描くことによって ポスターの前を通過する人数とポスターの存在に気付く人数の関係 が見えてきました。
②の散布図を見てみると
ということがわかります。
ポスターの前を通過する人が多ければポスターの存在に気付く人が多くなるのは、当たり前といえば当たり前です。そうすると、下の図の ? が付いている2つのデータに違和感を覚えますね。
上の図の2つの ● プロットが意味していることは
ポスターの存在に気付く人が多い!
です。
なぜ、このような結果になったのか?
原因を調べたくなりますね。
このように散布図を描くと
それまで見えていなかったものが見えてくる!
ことがあります。ぜひ、積極的に使っていきましょう!
研究の場では、ある要素とある要素の関係を調べるというケースは多いです。散布図は、関係を調べるために役立つグラフです。積極的に使っていきましょう。ただし、散布図は、棒グラフや円グラフに比べると親しみにくいグラフかもしれません。でも、研究の場で散布図の描き方に慣れておくと、きっと社会人生活でも役立つはずです。
自分の研究内容を人前で発表するときには、限られた時間で的確に発表内容を伝える必要があります。そのため、直感的で伝わりやすいグラフの描き方はぜひ習得しておきたい技術ですね。