パラグラフ・ライティング:段落とは異なる「パラグラフ」
パラグラフ・ライティングは、論理的な文章の記述に向くライティング方法です。
パラグラフ・ライティングで文章を書くと論理的な文章になります。論理的な文章には読んでいる人を納得させる力がありますから、パラグラフ・ライティングは論文の執筆に向くライティング方法といえます。でも、読んでいる人を納得させる文章の書き方はビジネス場面でも利用できます。
以下、パラグラフ・ライティングについて説明します。
パラグラフ・ライティングって何?
パラグラフ・ライティングの基本は、その名の通り「パラグラフ」です。
「パラグラフ」は文の集合です。

集合?

いくつかの文章からなる 固まり かな?
この文の集合である「パラグラフ」を一つの単位として、文全体を構成していきます。パラグラフ・ライティングでは「パラグラフ」が重視されます。

段落とは違うの?
段落とは異なるパラグラフ
パラグラフは「1つのトピック」について記述した文の集合です。
そのため
・トピックを変えるときにはパラグラフを変える
・トピックが変わらないのであればパラグラフは変えない
ことになります。
パラグラフは単なる段落と異なり、パラグラフ内で記述するトピックの扱いが厳密なことに注意しましょう。

う〜〜〜ん、まだ段落との違いがよくわからない!
下図で示すように、パラグラフ①ではトピックAについて、パラグラフ②ではトピックBについて、パラグラフ③ではトピックCについて記述します。
一般的に、段落もトピックでまとめられます。でも、厳密な決まりとまではいえません。
しかし、パラグラフの場合はトピックの扱いが厳密です。
段落であれば許されるであろう「同じトピックについて長く書いてしまったから、このあたりで段落を変えよう!」とか「違うトピックになるけれど、今、いい考えが閃いたから段落を変えずにこのまま書き進めよう!」などは許されません。もしも、同じトピックについて長く書くことになってしまったら、トピック自体を再考します。長く書くことになった原因が、トピックの決め方に起因する可能性があるからです。また、いい考えが閃いたのであれば、新しいトピックとしてふさわしいかどうかをまず吟味します。そして、新しいトピックとしてふさわしいと判断できたら、新しいパラグラフを作ります。
パラグラフは、1つのトピックについて記述した文の集合です。「長いか短いか!」「いい考えが閃いた!」などの理由で、パラグラフを分けたり繋げたりしません。
上図のパラグラフ①やパラグラフ②のように、トピックが混在するパラグラフを書かないように注意しましょう。
パラグラフを繰り返して文全体を構成
パラグラフ・ライティングでは、パラグラフという文の集合を一つの単位として文全体を構成します。そのため、パラグラフの基本的な形が文全体で繰り返されます。
たとえば、言いたいことが3つある場合は、パラグラフ①、②、③と3つのパラグラフを作ります。そして、それぞれのパラグラフの中に、1つのトピック・センテンスとそのトピック・センテンスを支持する複数のサポート・センテンスを書きます。そして最後にパラグラフの内容をまとめるコンクルーディング・センテンスを書きます。
このように、パラグラフという固まりを一つの単位とし、それを繰り返して文全体を構成していく方法がパラグラフ・ライティングです。
パラグラフの決まり
パラグラフ・ライティングではパラグラフの先頭にトピック・センテンスを記述します。トピック・センテンスは、単なる段落ではあまり見られない特徴です。
トピック・センテンス
トピック・センテンスは、パラグラフの先頭に記述するパラグラフ内で言いたいことを簡潔にまとめた1文です。
まず、トピック・センテンスをパラグラフの先頭に書くことが重要です。
書き手にとっては、文章を書き終えたあと、つまり、最後にパラグラフの記述内容をまとめる方が簡単です。でも、パラグラフ・ライティングでは、最初にパラグラフで記述する内容を説明します。なぜなら「これから何が書かれるのか!」という情報を、まず最初に読み手に教えるためです。

読み手にとっては、最初に教えてもらった方が楽だね!
また、トピック・センテンスは、そのパラグラフで言いたい内容を簡潔にまとめた1文である必要があります。
パラグラフは1つのトピックについて記述した文の集合ですから、パラグラフで記述する内容は1つの文にまとめることができるはずです。もしも、1つの文にまとめることができなかったら、そのパラグラフでは複数のトピックが記述されている可能性があります。
パラグラフ・ライティングでは、トピック・センテンスは重要です。トピック・センテンスについてはこちらでも説明しています。

サポート・センテンス
トピック・センテンスを記述したら、続けて、トピック・センテンスの記述内容を読み手に納得させるサポート・センテンスを書いていきます。サポート・センテンスを複数書くことによって、トピック・センテンスで記述した内容を読み手に納得させます。
たとえば、トピック・センテンスの記述内容をサポート・センテンスでわかりやすく言い換えたり根拠となる具体例をあげたりします。トピック・センテンスをきちんとサポートして読み手を納得させるために、サポート・センテンスは少なくとも3文以上書きましょう。もしも、トピック・センテンスをサポートする文が3つ以上浮かばないようであれば、トピック自体に問題があるかもしれません。そのようなときは、トピック自体を再考しましょう。
サポート・センテンスは、トピック・センテンスの記述内容を読み手に納得させるために書く文です。サポート・センテンスは、詳細かつ具体的であればあるほど説得力が増します。
コンクルーディング・センテンス
パラグラフの最後に、コンクルーディング・センテンスを書きます。
コンクルーディング・センテンスは、パラグラフで記述した内容をまとめた文です。パラグラフ・ライティングの決まりがしっかり守られていれば、コンクルーディング・センテンスで記述する内容は、トピック・センテンスで記述した内容とほぼ同じになるはずです。
もしも、コンクルーディング・センテンスとトピック・センテンスの記述内容がずれてしまったら、「パラグラフ内で複数のトピックが記述されている!」など、パラグラフ・ライティングの決まりが守られていない可能性があります。
また、コンクルーディング・センテンスで記述する内容は、トピック・センテンスで記述した内容とほぼ同じになるため、サポート・センテンスの数が少ないと同じことを続けて書いただけの陳腐なパラグラフができあがります。
コンクルーディング・センテンスは、パラグラフ・ライティングがきちんとできているかどうかチェックする機能ももちます。
まとめ
パラグラフ・ライティングというライティング方法は、論理的な文章を書くことに向いています。
パラグラフ・ライティングの基本は、その名の通り「パラグラフ」です。パラグラフは1つのトピックについて記述した文の集合で、単なる段落とは異なります。パラグラフ内で記述するトピックの扱いは厳密なことに注意しましょう。
また、パラグラフ・ライティングの特徴にトピック・センテンスがあります。トピック・センテンスは、パラグラフの先頭に記述するそのパラグラフ内で言いたい内容を簡潔にまとめた1文です。
パラグラフ・ライティングというライティング方法は、論理的な文章を書くことに向いています。論理的な文章は読んでいる人を納得させる力がありますから、論文執筆の場面だけでなくビジネスの場面でも役立ちますよ!

社会人生活を送りながらの学びは大変でしたが、パラグラフ・ライティングはいろいろな場面で役立った感があります!